10月1日から、インフルエンザワクチンの接種がはじまっています。
厚労省は10月26日までは、65歳以上の方を優先的するように協力を呼びかけています。
しかし、うちの奥さんが「○○クリニックは誰でもインフルエンザワクチンの接種をしてくれるみたい」と言うのです。
今日はテレワークなので、お昼前に奥さんと○○クリニックに行ってみました。
かかりつけ医様でもないのに、こんなときばかり恐縮です。
受付で「65歳未満ですがインフルエンザワクチンを接種してもらえますか?」と聞いてみました。
受付は「ワクチンの在庫もあるし、今後も入庫があるので接種できますよ」との回答でした。
予約ではなく本日接種できるみたいです。
私たちも 「もうすぐ65歳だし」「来週から解禁だし」「2、3日のフライングだし」許容範囲ではないかと、自分を正当化し受付をしました。
待合室で体温を計り、65歳未満の予診表に記入していました。
待合室には私たちしか居ません。
私たちが帰るまで、誰も来ませんでした。
子供用におもちゃ箱がありますが、使われた形跡はありません。
もうすぐお昼だというのに、スリッパもキチンと整列されたままです。
とにかくシーンとしています。
なんとなく、今日接種してくれる理由が解って来ました。
もしかしたら、10月1日から誰でも接種できたのかも知れません。
今年は、インフルエンザワクチン不足が懸念されていますが、このクリニックは状況が違う気がします。
入口に「インフルエンザワクチンはじめました」と貼り紙をした方がいい気がします。
貼り紙には、紅葉の葉っぱや木枯らしのイラストなどを描くとオシャレな気がします。
ふちどりには、雷文(ラーメンどんぶりのふちについている、四角い渦巻き)をあしらうと目立つかも知れません。
このクリニックは近所なので、昔から存在は知っていましたが受診したことはありませんでした。
受診しなかった理由は特になく、長年他のクリニックを受診していたからです。
すぐに名前を呼ばれ、診察室に入りました。
男の先生です。かなり高齢です。
80歳は楽に越えている感じです。
新型コロナのワクチンが出来た際は、先生が最優先で接種してもらうべきだと
思いました。
「今日はワクチン接種ですね。まずは胸を見せて下さい」と先生は仰いました。
そして、胸を出すとゆっくりと指をあて、打診を始めました。
肋骨をコツコツと叩き、「心臓も肝臓も腫れてない」と仰いました。
次に、聴診器を胸にあて、「不整脈なし」と仰いました。
今年の8月、動悸が何度かあり、循環器内科を受診しました。
しばらく心電計を借りて経過観察していたのですが、明確な結果は出ませんでした。
前回の人間ドックでは、飲みすぎのせいか γGTP の数値が上がってきていたので肝臓を気にしていました。
しかし、今の先生の打診で、心臓も肝臓も異常が無いことがハッキリしました。
最近のモヤモヤが晴れていきました。
数秒で、診断をくだすなんって名医に違いありません。
次は、背中に聴診器をあて、何度か深呼吸をさせました。
「呼吸器も異常なし。甲種合格!」と仰いました。
甲種合格?徴兵検査ですか?
先生は90歳を超えているかも知れません。
甲種合格となりましたので、いよいよ、ワクチンを接種してもらえます。
先生はゆっくりと立ち上がり、注射の準備を始めました。
私の後に奥さんも接種してもらうので、ワクチンは2本あればいいと思うのですが、銀色の容器には4本のバイアルが転がっているように見えました。
本当に全部インフルエンザワクチンでしょうか?
子宮頸がんや狂犬病ワクチンも混ざっているのではないでしょうか?
まさか、予約が入っている雰囲気をかもし出しているのでしょうか?
いまさら、名医を疑うようなことは出来ません。
覚悟を決めて、左腕を出しました。
先生が小さい歩幅で近づいてきます。
注射器を持つ手は、若干震えている気がします。
私はインフルエンザワクチン接種で、こんなに緊張したのは初めてです。
先生は目を血走らせて「目標位置発見」と私の腕をつかみました。
次に「打て!」とばかりに接種しました。
上腕というより、肩に刺さった気がします。
久しぶりなのでしょうか?先生の顔には達成感があふれていました。
任務完了でほっとしていたのでしょうか。
「今日は、お風呂に入っても大丈夫ですよ」とひきつった笑顔で仰いました。
私は先生に敬礼し、退出しました。
続いて先生は「次の方」と奥さんを召集しました。
二人とも、インフルエンザワクチン(たぶん)接種作戦は完了いたしました。
○○先生! 万歳!万歳!万歳!
医師免許は運転免許と違って更新がありません。
先生は、100歳になっても打診を続けていらっしゃるのだと思います。
「先生!甲種合格をいただきましたが、自分はかかりつけ医がおりますので、
本日をもちまして除隊いたします。お世話になりました」
敬礼!