前回、私が20代のころ、生産部門の縮小で大幅な人事異動があったお話を書かせていただきました。
今回はその20数年後、私が40代のときにも大幅な人事異動、リストラがありました。
その時の話を書かせていただきます。
それは、会社が合併するときの話です。
今、合併して10年あまりが経過しましたが、一応会社は存続しています。
合併としてはうまく行った方かも知れませんが、一体感があるかといわれればNOです。 きっと合併後の新会社で入社した人が半分ぐらいにならないと、完全な一体感は感じられないのかも知れません。
しかし、これからの時代は終身雇用なんて珍しくなっていくのだと思います。
仕事が合わなかったら転職するでしょうし、キャリアアップをしていくでしょう。
4月入社や新卒などにも拘らなくなっていくのだと思います。
そうすると、いわゆる愛社精神なんて死語になっていくのでしょう。
当時、合併の噂はありましたが、私が正式に合併を知ったのは新聞の朝刊でした。
朝刊の片隅に、その記事は載っていました。
会社に行くと、うすうす知っていた人、新聞を見て知った人、新聞を読んでなく会社に来て知った人と温度差はそれぞれでした。
準備ばんたんという感じで、社長のコメントや合併までのスケジュールが社内で発表され、全社員の情報レベルが均一化されました。
併せて、希望退職者を募るということも知りました。
リストラの人数は300人規模です。
社内では、みんなが一斉に人事のポータルへアクセスしているのでしょう?
朝から、なかなかPCが繋がらない状況が続いていました。
以前から噂されていたので、合併に関しては“ついに来たか”という感じでしたが、まさか同時にリストラがあるとは予想外でした。
その後、各事業部毎に社員は集められ、事業部長から合併に関する説明会が行われました。
・300人規模の退職希望者を募るが、優遇制度(退職金の割増しなど)は設ける。
・退職希望者の上限は付けない。
・1ヶ月が回答期限。
という内容でした。
退職金の割り増しがあるので、転職を考えていた人、定年間際の人、やりたいことがある人は願っても無いチャンスだったと思います。
1ヶ月で回答をしなければならないというのですが、300人集まらなかったら、300人に達するまで順番に指名されていくのか不安でした。
当時、私の人気は、人事・上司とも抜群だったので退職者指名候補の一巡目に回ってくることは間違いないのです。
家のローンはあるは、子どもは小さいは、何とかせねば・・・・と思いました。
しかし、退職希望者が予定通り集まればいいのです。
300人に達すれば、この機に乗じて私が指名されることは無いはずです。
戦力外通告を免れるのです。
翌日も勿論、会社ではこの話で持ちきりでした。
その日、課内の後輩2人を昼飯に誘いました。
私は後輩に対し
「退職金の割増しもこんなもんだろ? 他社と比べれば恵まれているぞ」
「このまま残ったって、またどっかと合併やリストラはあるんじゃないか?」
「割増があるうちに転職を考えた方がいいよ!」
「優秀な奴は希望退職も検討した方がいいよ!」
「特に若い人は、キャリアアップを考えるべきだよ!」
など挑発してみると
「そうですよねぇ、こんなすぐにリストラするような会社は怖いですよ」
「すぐに退職者を募る企業なんかより、小さな会社でも自分を欲してくれる会社で、目一杯働きたいですよ!」
と後輩は言った。
な~んていい展開。
もう一押しで2人GET!あと298人。
いよいよ、早期優遇退職者募集開始です!
情報交換を兼ね同期3人で飲みに行く事になりました。
場所は新橋の居酒場の座敷で、これぞ3流サラリーマンの聖地です。
キンミヤ焼酎にホッピーを注ぎます。
人事部の同期から「すごい勢いで、応募が殺到しているらしいぞ」
すると経営企画部の同期出世頭が 「この勢いだと期限前に締め切るんじゃないか?」
人事部の同期が 「それはないと思うけど、将来的には支店や工場の集約もあるだろう。そうなったら、更に人員削減があると思うんだ」
経営企画部の同期は「そのときは優遇が付く保障はないよなぁ」
との発言・・・
どうせ人事部はヒトゴト部なんだから。
こんな見え透いた作戦に騙されないぞ。
オレを辞めさせようとしてるな~
本当はまだ、ひとりも応募きてないんじゃないの???
“信じられるのは、自分だけ”
と心の中で思いました。
1ヵ月後、結果は
同期の言うとおり、退職希望者は300名をはるかに上回り、私の戦力外通告は免れました。
私は今もこの合併会社で勤務しています。
私が退職を勧めた後輩2人も、当時人事部、経営企画部の同期2人も相変わらず勤務しています。
残党のみなさま。
また、新橋の居酒屋で暑気払いしましょう!