最近、あおり運転が問題になっています。
お盆休みで、ワイドショーを見ていても、あおり運転の末に、高速道路で車を止めさせ暴行を働いているシーンが繰り返し報道されています。
この事件と関係ないかもしれませんが、普段はおとなしいのに、車を運転すると急に狂暴になる人がいます。
あの人があんなにスピード出すの?
あの人があんなに乱暴な運転するの?
あの人が車に追い越されただけで怒るの?
というように、ハンドルを握ると性格が変わる人は私も知っています。
その理由は「ドレス効果」という現象だとワイドショーで言っていました。
着るもので、性格が変わるという効果だそうです。
軍服を着ると男らしくなったり、女性が着物を着るとおしとやかになったりする効果だと思います。
車の運転でのドレス効果とは、高性能な車や、高額な外車、車体の大きな車などに乗ると、無意識のうちに自分が強くなったと錯覚してしまう効果らしいです。
あおり運転をする車の多くは、高額(高性能)な車に乗っている人が多いそうです。
確かに軽トラックで、フェラーリをあおる人は少ないと思います。
この効果は軽トラに乗るとおとなしくなるというより、あきらめてしまうのだと思います。
先日、雨の日に娘を駅まで車で送りました。
左折をしようとすると、スマホを見ながらゆっくり横断歩道を渡る人がいました。
その時、娘を乗せていることを忘れ、歩行者に対し「早く渡れよ!」と車の中で文句を言ってしまいました。
これは、「ドレス効果」です。
効果その1:いくらウチの大衆車でも人間よりは早い
効果その2:文句を言っても、相手には聞こえない
効果その3:相手と私は面識がない
この効果で私は「早く渡れよ!」と言ってしまったのです。
この発言のあと、何か恥ずかしくて横の娘を見れませんでした。
きっと娘は「ドレス効果だ!」とは思わず、「小っちぇい!」と思ったに違いありません。
これは「小っちぇい!」ではなく「せっかち」なのです。
私はエスカレーターで止まってられないのです。
エレベーターで閉まるボタンを押さずにいられないのです。
大ものか小ものかと言われればもちろん小ものですが。
話が逸れてしまいましたが、「ドレス効果」に話を戻します。
私は学生時代にアルバイトをいろいろしていました。
居酒屋や喫茶店などの定職もありましたが、急にお金が必要になり日雇いのバイトのお世話にもなりました。
主に土建屋の手伝いですが、このバイトが素晴らしいのは1日だけでも雇ってくれるし、その日にバイト代を支払ってくれたのです。
朝、事務所に集合し、現場までトラックに乗せてもらいます。
プロの土建屋さんが運転をし、私は助手席に座ります。
その日、プロの土建屋さんから「にいちゃん。ダッシュボードに足乗せていいぞ」と言われました。
当時シートベルトなんかしてないし、エアバッグもなかったと思います。
プロは、私の足が楽なように行ってくれたのか、ぶつかった衝撃で外に飛び出さないように言ったのかは判りません。
言われた通り、ダッシュボードに足を乗せました。
すると、私も急にプロ仕様になったような気がしました。
プロと世間話をしながら現場に向かっていると、何か大人になった気がしました。
こんなプロとの会話は、オヤジや兄貴ではできないだろうと優越感がありました。
そして、トラックは信号で止まりました。
信号待ちをしていると、車の左側にスポーツタイプの車が止まりました。
車の中には私と同年代(当時)のカップルが乗っていました。
私は助手席から、隣の車を見下ろし「チャラチャラしてんじゃねえゾ!」と思いました。
さすがに淡は吐きませんでしたが、そんな勢いだったのを覚えてます。
なんたって、私は、ワークパンツにハイネックシャツを着て、トラックの助手席でダッシュボードに足を載せて乗車しているのです。
どんなに上品で小ものの私でも、下品で横柄になってしまうのです。
昼間からデートしているカップルや学生友達がガキに見えてくるのです。
隣のプロに、「先輩、仕事終わったら煮込みで一杯やりましょうよ!大人同士で」
と誘いたくなりました。
これは間違いなく「ドレスダウン効果」なのです。