計画性のない生活

サラリーマン生活も終盤を迎え、日常の気になることや面白いことを書かせていただいてます

本格キムチ

 せっかくの休みだというのに、しとしと雨が降り気分が滅入ります。

家庭菜園にも行けないし、ごろごろテレビを見てました。

3時を過ぎ、天気の回復が見込めないため、近所では大きめな駅に向かいました。

特に目的は無いのですが、本屋にでも行って、本や雑誌を見たり、デパートを覗いて暇をつぶそうと思っただけです。

 

以前はパチンコ屋で多くの時間を費やしていましたが、どういう訳か最近はまったく行きません。

特に煙草を止めてからは、行く気も起こらなくなりました。

あんなにお金を使っていたのが不思議なくらいです。

競馬もやらなくなりました。

昔はよく、渋谷の場外馬券場にも行ったり、みんなで府中競馬場へも行きました。

今は、年に何回かG1レースを見たり、年に1回会社の帰りに大井のトゥインクルレースへ行くぐらいです。

 

そうだ!だいぶ日も傾いてきたし、今晩の晩酌のつまみでも買って帰ろうと思いつくと急にワクワクしてきました。

人間、目的を持つというのは重要なことなのです。

目的の小ささは気にせず、颯爽とデパ地下へ突入しました。

土曜日の夕方は、主婦や親子連れ、夫婦が多く、男一人が食料品売場で買い物をしている姿はあまり見かけません。

先ず、今晩は何の酒を飲むかです。

つまり、つまみで酒が決まるといっても過言ではありません。

べつにグルメというわけではありませんが、ピザで日本酒は呑めないし、塩辛で赤ワインは呑めません。

逆にどんな酒にでも合うつまみもあると思うのです。

例えばチーズなどです。

ビール、ワイン、ウイスキーに合うのはわかります。

チーズでもカッテージチーズのような味のないものに鰹節としょうゆ(できれば出汁しょうゆ)をかけたものが居酒屋で出てきた覚えがあります。

イタリアの羊乳チーズ「ペコリーノロマーノ」なんか塩辛いハードタイプでちびちびとつまみながら、純米酒を呑むのもなかなかいけると思っています。

 

燻製はウィスキーが合うのかもしれませんが、カキやサーモンの燻製は白ワインが合います。

刺身を赤ワインで呑んだら、磯臭さを強烈に感じて合いません。

先日、とても香ばしく焼かれたカツオのたたき(ワラ焼き)を食べました。

恐る恐る赤ワインで飲んだのですが、全く磯臭さを感じないのです。

カツオのたたきは赤ワインでも呑めるのには驚きました。

 

あっ、思い出しました!

今晩は子どもの希望で、焼肉にすると、奥さんが言っていました。

近所にはあまり美味しい焼肉屋がないので、その分やや上等な肉を買ってきて家庭内焼肉ということになったようです。

ということは、今日の酒は、ビールと焼酎か~。

急に手足を縛られたようで、自由度が失われ会社を思い出しました。

気を取り直して、せっかくデパ地下に居るのだから、何か買って帰りたいのです。

やはり焼肉といえばキムチでしょう。

スーパーやコンビにで売っている、プラスチック容器に入った甘ったるいやつではなく、樽から出したての、無添加の本格キムチが食べたい。

デパ地下なら、そういう本格手作りキムチが置いてあるのではないでしょうか?

目的が具体化され、問題意識を持って漬物売場に行くと、ありました本格キムチが。

樽には入ってませんが、並べてある袋ごとに内容量が違い、量により値段もばらばらです。

いかにも手作業で小分けしましたとアピールしています。

食品メーカーの内容量が一定のパックとは違います。

売場のおばちゃんも、デパートの社員ではなく見るからに本格派です。

前期高齢者に、踏み入れてそうな職人気質の本格派です。

どのくらいの大きさがいいのだろうかと迷っていると、本格派が寄って来て、「このキムチはおいしいよ! 遠くから買いに来てくれる人がいっぱいいるんだ」と自信満々。

「一つもらいたいんだけど・・・」と言うと、

「ありがとうございます。小さいの選んであげるからね!」

なんで勝手に小さいのって限定する?

「食べ切れなくて古くなったり、酸っぱくなったら、油で炒めたり、チャーハンに入れたりすれば大丈夫だからね。チャーハンぐらい作れるよネエ。もったいないから捨てないで全部食べてよ」

 

と子供みたいに言われました。

言われるがままに、おばちゃんの選んでくれた、一番小さいキムチを買わされてデパ地下を出ました。

帰り道、キムチをぶら下げながら

なんで、勝手に一人で食べると決めるんだ?

なんで、一人暮らしと決め付けるんだ?

土曜日の午後を持て余した野菜不足の単身赴任に見えたのか?

はたまた、かみさんに逃げられた一人暮らしの寂しいオヤジに見えたのか?

と、ぶつぶつ言いながら帰りました。

どっちにしても幸福そうな生活をしているようには見えなかったのでしょう。

 

焼肉パーティーの食卓には、小さなお皿にキムチが盛り付けられていました。

 

「どうして、こんな少ししか買わなかったの?」

と奥さんに言われました。

「有名な本格的な漬物屋でやっとこれだけ買えたんだ。遠くから買いに来るひとがいっぱいいるらしいよ」

と言って、夕方より待ちわびていたビールを一気に飲み干しました。

焼肉にはキムチです!