会社からまっすぐ帰り、20:00過ぎに駅に着きました。
駅から自宅まで歩いても行けるのですが、今日は疲れていたのでバスに乗ることにしました。
この時間帯は頻繁にバスがあるのに、結構混んでいました。
すぐに降りるので、降り易い中央の降車口横の優先席の前の吊り革につかまりました。
イヤホンで音楽を聴きながら外の灯りをボーっと眺めていました。
目の前には、37~38才のサラリーマン風(漫才師のナイツのメガネのツッコミ風)の人がiphoneをいじっています。
その右隣には、はげ頭のおじいさん(ちびまる子ちゃんのおじいちゃん風)が座っています。
そして、ちびまるこ友蔵は、横のナイツ土屋をじっと見ているのです。
いやな予感がします。
バスが発車して、暫らくすると、友蔵がいきなり土屋に向かって、
「おい!これが見えないか!」と“優先席付近では、混雑時携帯電話の電源をお切りください”のステッカーを指差したのです。
小生は慌てて、音楽のボリュームを下げて、聞き耳を立てました。
バスの乗客も、いっせいに各自の作業を止めて、友蔵と土屋に釘付けになりました。
バトルが始まるかと思いきや、土屋は面倒臭そうにiphoneをしまいました。
気が納まらない友造は「周りの人の事を考えろ」とか「おまえを優先させるための席ではない」とか駄目押しをしていました。
土屋はじいさんとけんかしても無駄だと思ったのか、友蔵を無視して寝たふりを始めました。
友蔵は優先席でiphoneを使っているからでなく、混んでる優先席に若いもんが座っているのが気に入らなかったのかも知れません。
周りの人は、土屋の戦意喪失で盛り上がりに欠けるバトルで消化不良になっていました。
以前は「優先席付近での携帯は禁止」だったのが、今は「優先席付近での、混雑時の携帯は禁止に」変わりました。
混雑時の定義がハッキリしないので、使用していいどうかの判断基準が曖昧です。
なぜ混雑時はいけないのか?
多分、携帯が人に触れるぐらいの混雑状況であれば、ペースメーカーを入れている人に影響がある可能性があるということなのでしょうか?
そうであれば、混雑時は優先席付近に限らず使用禁止にしなくてはならないのではないのでしょうか?
それとも、ペースメーカー植え込み者は優先席付近に乗ることになっているのでしょうか?
といろいろな疑問が頭をもたげる中、私が降りるバス停に到着しました。
すると、スーッと斜め前の友蔵も席を立ったのです。
“同じ停留所だ” 私は目上の方に敬意を表すとともに“因縁”をつけられないために、友蔵を優先して降りていただき、続いて私もバスを降りました。
友蔵は少し通りを戻り右折しました。
私の家と同じ方角なのです。
土屋も友蔵が先に降りて喜んでいるだろうなぁ。
寝たふりするのもつらかっただろうなぁとか思い、
友蔵の後頭部を眺めながら歩いていました。
しばらく歩いていると、友像は後ろから着いて来る、私の気配を気にしているように感じました。
もしかしたら友蔵は、土屋が“復讐”のため着いて来ていると勘違いしているのではないのでしょうか?
私、「土屋じゃないですよ!」と心の中で叫んだ。
確かに、私の方が土屋より年齢は上ではあるけれど、サラリーマン風ということであれば、私も似たようなもんです。
友蔵は、やや早足になったような気がします。
つられて、私も早足になってしまいました。
いかん。いかん。追いかけている感をかもし出してしまっています。
なんか友蔵の心臓の音が聞こえるような気がします。
友人の中野さんに会わないだろうかとか思っているのでしょうか?
(中野さんなら、私でも勝てる気がしますが)
そして、次の角を曲がったとき、意を決した友蔵は必死の形相で振り返ったのです。
私と目が合った瞬間時間が止まりました。
その顔は、恥ずかしさと安堵の色が混ざった何とも言えない表情でした。
私は心の中で「土屋じゃないって」とツッコミました。
友蔵も頑張って怒ったんだなぁ~
友蔵心の俳句
「年寄りを 大事にしろよ スマホより」